校長Blog

  • 3月1日 高校卒業式【校長式辞より】

    • 2018.03.3
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    卒業式当日の3月1日は、日本列島が春の嵐に見舞われた日です。

    「風は吹けども山は動ぜず」。 周囲の騒ぎの中でも少しも動じず、悠然とした将来への幕開けの日となりました。

    今年の卒業生は230名。中学からの入学者は共学2期生、高校からの入学者は共学5期生です。先生方と力を合わせ、共学前の翠陵の歴史の先に新たな歴史を築いてくれた、頼もしき翠陵第30期の卒業生です。

    式辞では、「環境」の大切さと、本校のモットー“Think & Challenge!”を忘れずに自分らしく生きて欲しいと話しました。

     

     ☆   ☆   ☆

     

    翠陵の大自然。春爛漫の校門からの桜並木。初夏の爽やかでフレッシュな新緑。強い太陽の日差しと深い緑に包まれる夏の息吹。虫の音とともに訪れる赤や黄色の鮮やかな秋の紅葉。あたり一帯が静まり返る冬の雪景色。どの季節も見事です。大自然の懐で、皆さんは心も体も大きく伸び伸び成長しました。この自然環境は、翠陵が持つ大きな財産、皆さんに与えられた環境です。

    翠陵の人々。3年間で築いた仲間との友情、後輩との絆。近くで見守り続けた先生方。そして、いつも変わることのない深い愛情で皆さんを守り続けてくださったご家族。たくさんの翠陵の人々です。人は人の中で育ちます。自分の身近にいる人の影響は大きなものです。3年間で築いた翠陵の人々との繋がりは、皆さん自身が創った環境です。

    環境は人を育てます。同じ人でも環境が変われば違う成長があるでしょう。翠陵に来て与えられた自然という環境。3年間で自分で創った、人との繋がりという環境。これらの環境のお蔭で3年前とは違う自分が今ここにいるわけです。これから飛び込む新しい世界でも、どのような環境を選び、どのような環境を創るのか、是非見極めて欲しいと思います。

    翠陵の卒業生として忘れずにいてほしい言葉は、翠陵のモットー“Think & Challenge!”です。いつ如何なる時も常に自分自身で考えて判断し、積極的に挑戦する翠陵の教員・生徒全員の行動指針です。

    “考える”とはどんなことなのか? 例えば試験問題の答えを考えるとき、頭の中はどうなっていますか? 先ずは、答えを捜すために自分の持っている知識を総動員です。知識が不足していると答えに辿り着くことはできず、授業を聴いかなかった、復習しなかったと反省します。つまり、“考える”ときに必要なものは知識なのです。試験問題の答えを考えるときだけでなく、自分の人生、友達とのより良い関係、社会問題など、“考える”時にいつも必要です。知識なくして“考えるちから”は備わることはなく、知識を吸収する意欲がなくなったら考えることをやめてしまうことだとも思います。また、年齢を重ねると考えが深まるのは間違いなく知識量が増えているからです。高1の頃と卒業を迎える今の自分の、考えに差があるのは知識の差です。

    また“考え”は頭の中に留めておくだけではいけません。自分の言葉で外に発信することで更に深まるからです。解答用紙に答えを書く、悩みを誰かに相談する、考えを発表する などが外への発信です。答案がチェックされたり、相談や発表に対する答えが返ってくることで、考えは修正されより確かなものになります。

    まず知識を得て、それを総動員して考えをまとめ、自分の言葉で発信し、反応をえる。これを繰り返すことが“考える”ということなのです。そして、人間の持つ“考えるちから”は他の生物が持たない最も優れたものとも言えます。

    “挑戦する”ことから得られるものは、達成感と自己肯定感です。挑戦には勇気が必要ですが、在学中、皆と一緒だからできたこと、先生方に少しだけ背中を押されてできたこと。いつも勇気をふり絞り、多くのことに挑戦してきました。結果が成功でも失敗でも、挑戦の後に残るものは、挑戦前とは違う自分と次の挑戦への自信です。一歩先の自分を見据えて、“挑戦するこころ”をいつまでも持ち続けてください。

    翠陵での3年間、6年間は人生の土台作りでした。今日の卒業で完結ではなく、これから続く長い人生という物語の序章です。21世紀を生きて22世紀を創る皆さん。20年後、どのような活躍をしているのでしょう?楽しみです。50年後、60年後、どのように人生を振り返っているのでしょう? “Think&Challenge!”の精神を忘れることなく「考えることのできる人」を目指して、自分らしく自分だけの人生を歩んでください。

    最後になりますが、短い詩を紹介します。「心に太陽を持て」というタイトルで、ドイツのフライシュレンという詩人の作品を「路傍の石」の山本有三が訳したものです。小学生の時にこの詩に出会って以来の私の座右の銘です。

    心に太陽を持て。

    あらしが ふこうと、

    ふぶきが こようと、

    天には黒くも、

    地には争いが絶えなかろうと、

    いつも心に太陽を持て。

     

    くちびるに歌を持て、

    軽く、ほがらかに。

    自分のつとめ、

    自分のくらしに、

    よしや苦労が絶えなかろうと、

    いつも、くちびるに歌を持て。

     

    苦しんでいる人、

    なやんでいる人には、

    こうはげましてやろう。

    「勇気を失うな。

    くちびるに歌を持て。

    心に太陽を持て。」

    卒業おめでとう!!

     

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